ロボットの詐欺電話攻撃、人間は防げるか


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 「これは米内国歳入庁(IRS)からの最後通告です。この電話の本来の目的は、あなたに対する税金詐欺の告発状をIRSが受け取ったと知らせることです。この件が連邦裁判所に送られるか、あなたが逮捕される前に、すぐに電話を下さい」

 初めて「iPhone(アイフォーン)」に自動音声の電話がかかってきた時、筆者はそれを無視した。2回目には、知らないうちにマーサ・スチュワートの商品をカードで購入したかもしれないと本気で心配になった。3回目、4回目、そして10回目には、ならず者の詐欺師たちが私につきまとうのに怒りが爆発した。

 私たちはロボット黙示録の真っただ中にある。ロボットたちはリキッドメタル(液体金属)レーザーガンで私たちを消し去るのではなく、「ロボコール(自動音声通話)」で圧倒してくる。つまり、あらかじめ録音された迷惑な音声が私たちの生活に土足で踏み込んでくるのだ。どこに行っても安全ではない。もはやスマホでさえ聖域ではない。

 処方箋に関する薬局からの大切な電話、あるいは大雪による休校の知らせについて話しているのではない。違法な電話について問題にしているのだ。無料のクルージングや債務の減免、楽に稼ぐ方法など、それらの多くは詐欺まがいのもので、一片の「アメリカン・ドリーム」を約束するものだ。

 クラウドコンピューティングを基盤にした通信サービスを手がける「ユーメール(YouMail)」によると、米国では2016年に入ってから100億以上のロボコールが発信された。米連邦取引委員会(FTC)に寄せられたロボコールに対する苦情件数は昨年から50%近く増加。米内国歳入庁(IRS)によると、筆者も受けたことがある税金に関する詐欺電話も今年増加しており、2013年10月からの被害総額は4000万ドル以上に達したという。

 ロボットが勝利したと言うのは簡単だ。十分な対策を取っていないように見える人々に怒りをぶつけるのも簡単だ。規制当局は取り締まりに迅速な対応をしているとは言えない。政治家は発言ばかり多く、行動が伴っていない。通信会社は「眠れる巨人」のようなもので、急いで目を覚まして問題解決に当たろうとしていない。一方、生身の人間である私たちは、自分たちなりの反撃方法を見つけ出しつつある。

ロボコールの乱れ討ち

 なぜ筆者のスマートフォンが狙われたのか。電話帳に載っている自宅の番号が狙われるのなら理解できるが、ネット上で携帯電話番号を共有したことはないし、いかがわしいショッピングサイトや融資サイトに番号を登録したこともない。

 米国の非営利組織「商業改善協会(BBB)」のキャサリン・ハット氏は、筆者の携帯電話番号をグーグルで検索してみることを勧めた。あなたも是非試してほしい。筆者の電話番号はさまざまなサイトに表示されたが名前は付けられておらず、同じエリアコードを持つ他の多くの番号と一緒に並べられていた。ハット氏によると、詐欺師や電話営業の担当者らは、こうした番号リストをかき集めた可能性がある。

 最近のロボコールの集中砲火を可能にした真の理由は「テクノロジー」だ。詐欺師は非常に簡単かつ低コストで無数の番号に発信できるようになったため、私たちの電話にかかってきやすくなったのだ。彼らは番号リストをソフトウエアに組み込み、インターネットを通して大量の電話をかける。また、このソフトウエアを使えば簡単に番号の「なりすまし」ができ、発信者情報の改ざんも可能なため、かける側は国外にいようが自分の正体と居場所を偽装することができる。例えば、税金の支払いを要求する詐欺師がIRSのフリーダイヤルになりすますことさえできるのだ。

抵抗は無駄ではない

 FTCはかつて「電話お断りリスト」を作成して救済に乗り出したことがある。しかし、そのリストに番号を登録しても、迷惑な営業電話から逃れられるというささいな安心感が得られるだけだ。筆者がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の読者400人を対象に独自に行った調査では、8割近くが登録しても電話がかかってくると答えた。詐欺師はそのようなリストなど気にしないのだ。

 スパムコール(迷惑電話)ロボットの裏をかくのは簡単ではなく、フィルターをかければ済むようなものではない。最善の対応策は以下の通りだ。

 ロボコールがかかってきても応答してはいけない。FTCと米連邦通信委員会(FCC)の専門家らによると、発信先の電話番号が実際に使われているとシステムが認識すると、その番号はさら上位のリストに載せられることになる。また、発信者番号を確認できなければボイスメール機能につなげよう。電話を受けてロボコールと分かれば、すぐに切ってしまおう。

 番号を調べて報告しよう。疑わしい電話番号をコピーし、「ハイヤ(Hiya)」のようなアプリを使って逆探知するのだ。ハイヤには詐欺師によって使われた番号の巨大なデータベースが入っているが、その大部分は一般市民からの報告に基づいて作成されたものだ。もし詐欺師の番号だと分かっていれば、それをアプリに報告し、その次にFTCに苦情を申し立てよう。FTCはアプリへの報告が調査の助けになると述べている。

 通話ブロックサービスを使おう。ハイヤの他、「トゥルーコーラー(Truecaller)」「ノモロボ(Nomorobo)」などのアプリも詐欺電話がかかってきたら警告を発し、違法ロボコールの発信者の間で広く使われている番号のデータベースに照らして発信者番号をチェックしてくれる。iPhoneでハイヤとトゥルーコーラーを使えば、どちらのアプリもあなたのアドレス帳に全データベースをダウンロードする。悩ましいことに、このデータベースはあなたが使う全ての端末と同期するかもしれないのだ。このため、私は月5ドルを支払ってでもノモロボを好む。

 ノモロボは別のアドレス帳を作成し、それを15秒ごとに更新して最新の詐欺師の番号を反映させる。

 基本ソフト(OS)を更新しよう。現時点では、アンドロイド端末を使えばかなりの精度で通話をブロックできる。また、アップルが今秋に投入する「iOS 10」はiPhoneに新たなパワーを注入する。現在でも発信者を直接ボイスメールにつなぐことで番号をブロックできるが、これをまとめて行うことができるアプリが近く登場する。つまり、番号をひとつひとつブロック設定する手間が省けるようになるのだ。

未来の秘密兵器

 ネットワーク上で詐欺電話を阻止できたらどうだろう。FCCとFTCは無線通信事業者(キャリア)がこれを行うと期待している。FCCは昨年6月、顧客からの要望があれば、通信キャリアが合法的にロボコールや自動テキストメッセージをブロックできると述べた。

 カナダの通信キャリア、プライマスが投入した「テレマーケティング・ガード」は、こうした手段がいかにうまく行くかを示す好例だ。固定電話の顧客がこのサービスの利用を選択すれば、ブラックリストに載った番号からの発信が電話のベルを鳴らす前に、プライマス独自のロボットがこれに対抗する。

 当局者らは、米国の無線通信キャリアの腰は重いと話す。現在、キャリアは利用者と端末メーカーに通話ブロックの責任を負わせようとしている。業界団体のワイヤレス移動体通信産業協会で規制担当のバイスプレジデントを務めるスコット・バーグマン氏によると、ネットワーク全体でブロックする場合の問題点は、実際はつながって欲しかった電話まで遮断しかねないことだ。ベライゾン・コミュニケーションズ、Tモバイル、AT&Tは継続的に新技術を評価していると述べたが、詳細は明らかにしていない。

By JOANNA STERN

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